皆さん、こんにちは!「子ども未来教育研究所」みらいTです。
今から20数年前に新聞紙上を賑わせたこんな記事があります。
その記事にはこんな題名が付いていました。
「雪がとけたら何になる?」
投稿したのは、小学校一年生の双子のAちゃん、Bちゃんのお母さん。
ある日、AちゃんとBちゃんが学校のテストを持って帰ってきました。
そこには『雪がとけたら何になる?』という問題が書かれていました。
妹のBちゃんは、どちらかというとおっとり型で、マイペースなタイプ。
そのBちゃんは、答えに大きな文字で「春」と書いて赤い斜線が右から左に冷たく書かれていたそうです。
雪が降り続き、「早く春が来るといいなぁ」というBちゃんの思いが伝わるような「春」の字なのに・・・というお母さんの想い。
本が大好きなBちゃんは、雪の下でじっと春を待つ山の動物や、冷たい北風に震えながら春を待っている草木をきっと思い出していたのでしょう・・・とお母さん。
「水」と書いて、先生から大きな丸をもらった姉のAちゃん、春への期待に夢を膨らませていたBちゃんには、丸はなくても温かい言葉を一言添えてほしいと思ったお母さんでした。
「丸はなくても温かい言葉を一言添えてほしい」
この言葉は、親であれば誰もが思う気持ちだと思います。
実はこの話題は、教育界の中では「見える学力、見えない学力」として、ちょっとした論争になったものです。
つまり、丸をもらった「水」は見える学力で、ばつをもらった「春」は見えない学力だというのです。
教師目線でこの問題を考えた時、「指導と評価の一体化」という視点がありますが、そこは別の機会に考えるとして、親目線でこの問題を考えます。
この記事から20数年、この論争は「認知能力」と「非認知能力」という考え方に変化します。
つまり、丸をもらった「水」(見える学力)は「認知能力」として、ばつをもらった「春」(見えない学力)は「非認知能力」ということになります。
「非認知能力」は、テストで測ることのできない力
今では、「認知能力」「非認知能力」は、学力のようにテストで測ることができる力が認知能力で、テストで測ることのできない力を非認知能力という考え方が定着しています。
これからの複雑な社会を生き抜くためには、必要不可欠な能力が非認知能力だと言われています。
それにしても、この非認知能力の正体は言葉だけではなかなか把握できないというのが現実ではないでしょうか?
ある実験で非認知能力を理解する
そこで、この内容を理解するために、有名なある実験があります。
私自身、この実験を小学校低学年、大学生、そして子育て世代の親の皆さんと一緒にやった経験があります
例えば、「きゅうり、じゃがいも、かぼちゃ」の3種類の野菜を用意します。
これらの野菜が水に浮くかどうかという実験です。
小学生は思い思いに、浮く浮かないを予想します。
大学生には少し知識があります。
子育て世代の親は野菜を調理した時の経験をもとに予想します。
実際に水槽を用意し、いよいよ目の前でそれぞれの野菜を水槽に入れてみます。
子どもたちはもちろんのこと、大学生も親も皆、前のめりでこの実験に見入ります。
そして、水槽に入れた瞬間、感嘆の声やため息をつくのです。
どうみても、見た目からは、きゅうりとじゃがいもは浮き、かぼちゃは沈みそうです。
しかし、結果は・・・!
また、「バナナやりんごの果物、穴の空いたれんけん」などで実験してみてもいいでしょう。
まとめ
この実験をした小学校の親からこんな連絡をもらいました。
「先生、うちの子が野菜をお風呂に持って行くと言うのですが・・・?」
また、子育て世代の親が家の子どもと一緒にこの実験をしたそうです。そしたら・・・、
「先生、うちの子が次々と野菜や果物を水の中に入れたいと言うのです。」
これこそが「非認知能力」です。
野菜や果物が水に浮くかどうかはテストに出る問題ではありません。
しかし、これらの実験を自分事としてとらえ、「やってみたい」「調べてみたい」こんな気持ちになることが「非認知能力」なのです。
ぜひ、ご家庭でこの実験に挑戦してみてください。
思いもよらない結果だったり、子どもが正解で親が不正解だったりという楽しく面白い時間を過ごすことができること、間違いないと思います。
「非認知能力」が、子どもも大人も笑顔にしてくれるはずです。