書評

ヨシタケシンスケさん新作『まてないの』から学ぶ「待つことの大切さ」

皆さん、こんにちは!「子ども未来教育研究所」みらいTです。

皆さんは、ヨシタケシンスケさんの絵本『おしっこちょっぴりもれたろう』をご存じですか?

子どもたち、特に小学校の低学年には大人気の絵本なのです。

そんなヨシタケシンスケさんの新作が『まてないの』です。

1 基本情報

・題名:『まてないの』

・作:ヨシタケシンスケ

・出版社:ブロンズ新社

・発売日:2025年3月

・定価:本体1,300円+税



2 この本の特徴

とにかくヨシタケシンスケさんの本は、大人にも子どもにも大人気です。

保育科の学生に絵本を紹介する模擬保育では、必ずヨシタケさんの本が何冊か選ばれます。

それは、ストーリーの面白さはもちろんのこと、「考えることそのもの」を楽しめるのが特徴になっているからではないでしょうか?

たとえば、ヨシタケさんの絵本の代表作として『りんごかもしれない』という絵本では、「これは本当にりんご?もしかしたら違うかも?」と、色々な想像を膨らませていきます。

これは考えることの面白さや、見方を考えることの大切さを教えてくれる作品で、「発想絵本」として人気を集めました。

ただ、今回の作品『まてないの』では、今までの作品とは少し違う「時間」や「人生」というより深いテーマになっています。

 

この絵本の主人公は、「待つこと」が苦手な女の子。

たとえば、早く遠足に行きたいので明日の朝まで待てないとか、早くご飯を食べたいのにお弁当の時間まで待てないとかで、イライラしちゃうのです。

そんな女の子が「待てない」性格のまま大人になって、さらにおばあちゃんになっても変わらない彼女の一生が描かれています。

この絵本の面白さは「待つことの大切さ」と同様に、「待てない自分」もOK、むしろそれがその人の個性だよというメッセージが込められているところ。

「せっかち=悪いこと」ではなく、自分らしさを受け止めようという、ポジティブな視点で描かれているところが、この絵本の大きな特徴です。

3 まとめ

ヨシタケシンスケさんの絵本の良さは、その内容のもちろんのこと、絵の可愛らしさやユニークさにあります。

大人には「時間」と「人生」といった壮大なテーマを感じさせられる絵本でありながら、子どもにもしっかりと寄り添ったユーモア満載の絵本です。

ぜひ、ヨシタケシンスケさんの絵本を手に取ってもらえればと思います。



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