書評

絵本「おうさまがかえってくる100びょうまえ!」緊張感が半端ない!

おうさまがかえってくる100びょうまえ!

皆さん、こんにちは!「子ども未来教育研究所」みらいTです。

これまで紹介してきた「しかけ絵本」とは一線を画す、楽しいリズムとユーモアあふれる絵本です。

何といっても100秒という限られた時間の中で物語が展開され、その楽しい緊張感がみどころのひとつです。

1 基本情報

・題名:「おうさまがかえってくる100びょうまえ!」

・作者:柏原 佳世子

・出版社:えほんの杜

・発売日:2018年7月

・定価:本体1,400円+税

2 この本の魅力

あらすじは、王様が出かけたる日、召使いや家来たちが王様の部屋でやりたい放題、散らかし放題。

ところが王様が100秒後にお城に帰ってくることがわかったところから、このお話は始まります。

王様の部屋は、召使いや家来たちが慌てて掃除や後片付けを始めます。

時間は刻々と過ぎていき、100秒という短い時間でどこまで片づけられるのか

また、王様が帰ってきたときにどんな反応をするのかが物語のクライマックスです。

 

この絵本は、時間とプレッシャーと慌ただしさを描きつつ、登場キャラクターのユーモアやドタバタ劇が楽しめる内容です。

テンポの良い文章と生き生きとしたイラストで、子どもたちに笑顔を届ける一冊です。

3 読後感

(1)テンポの良さとドキドキ感

物語の進行が100秒という時間制限に縛られているため、読む側も一緒に焦りを感じながらページをめくることができます。

時間が迫る緊張感が楽しく、読み手も「どうなるんだろう?」と最後まで夢中で読み進めることができます。

(2)登場キャラクターの面白さ

お城の召使いや家来たちが大慌てで片づける様子がコミカルに描かれていて、彼らのドタバタ劇が笑いを誘います。

読む側もこのユーモラスなキャラクターたちに親しみをもつことができるでしょう。

(3)絵と文のバランスが絶妙

イラストが鮮やかで、状況の緊迫感やキャラクターの表情がとても生き生きと描かれています。

文章もリズミカルで、読み聞かせにもピッタリです。

視覚と聴覚の両方で楽しめるため、小さな子どもでも飽きずに最後まで楽しむことができます。

(4)時間の概念と工夫することの大切さを学ぶ

物語を通して、子どもたちは時間の大切さや、限られて時間で工夫して問題を解決しようとする姿勢を学ぶことができます。

また、100秒という具体的な数字が出てくるので、時間感覚を育む題材として役立ちます。

(5)結末の意外性

最後に王様が帰ってきたときの反応が面白く、緊張していた読者も思わず笑ってしまうような展開がまっています。

この結末が、絵本全体のユーモアをさらに引き立てているのでしょう。

4 まとめ

100という数字の概念がわかる年齢の子が楽しめる絵本です。

しかし、その概念がわからない子どもでも、だんだんとクライマックスに近づいていく緊張感はきっと伝わることと思います。

最後にこの本には、壮大な「しかけ」があります。

それは、最初と最後のページがまるで間違い探しのようになっているところが最大のみどころなのかもしれません。

まちがいなく、親子で笑顔になることができる絵本のひとつです。

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